2012年1月11日水曜日

あなたは岩手・宮城・福島のどれ?


昨年末、CNNがまとめたパラダイムシフト(物事の見方や考え方の変化)を起こした3つのビック・ニュースの一つとして東日本大震災を取り上げました。死者不明者1万9千人。避難者33万人。あの日からもう少しで一年です。三重苦(地震・津波・原発)に喘いでいる日本はどこへ向かって歩んでゆこうとしているのでしょうか。残念ながら"オールジャパン"は掛け声だけで政治も行政も未だに足並みが揃っていません。しかし、被災地の岩手・宮城・福島は少しずつ歩みだしているようです。つまり、岩手県は総花的な復旧を目指して…。宮城県は選択的な復興を目指して…。福島県は、復旧でもなく復興でもなく、何も決められず、ただ立ち往生しているように見えます。被災地にも格差が生じているわけです。

今ではピーク時の15分の1に激減したらしいボランティア活動。年末年始、知人たちが車持参で被災地(石巻)へ。先日、彼らからボランティア活動の体験談を聞きました。一人は今回で三度目。もう一人は初めて。ベテランは前回に比べ「格段に処理が済んでいる。スゴイね…」と言う。ルーキーは「想像以上でショックだった。何も進んでないヨ…」と語気を強めた。が、両人とも「意外だったナ~」と言ったのは、パチンコ店の繁盛ぶり。被災を免れたラッキーなお店の繁盛ぶりでした。若い頃、米国留学した彼は「アリゾナのど田舎のカジノを思い出したヨ」と一言。つまり、先住民保護区にあるカジノは政府支給の特別生活給付金を手にした人々で賑わっている風景にどこか似ている、と言うのです。カジノやパチンコの良し悪しの話しではない。先が見通せないやるせなさ。情けない想いで時を過ごす。憂さを晴らすことで明日へのエネルギーを得るヒトもいれば、それがアダとなり、立ち上がる気力を失うヒトもいる。あれもこれも運命の悪戯。何とも言えません。ある日、突然、かけがいのない大切なヒトやモノを失う。生き甲斐や目標や目的を見失ったとしたら、ヒトはどのような選択と行動をとるか。他人事ではない。

ところで、第三次補正予算12兆円が計上。うち復興費9兆円がいよいよ被災地で動き出します。土木・湾岸・建築関連業界は活気立っています。そして、これまでガレキの陰に隠れていた"利権屋サン"たちも堂々と顔を出し始めました。未来の地方自治がどうあるべきかを示唆することなります。被災地のリーダーたちの動きに世間の注目が集まっています。つまり、岩手は"痛み分け"の復帰を目指す「復旧」へ。宮城はトラブル覚悟で取捨選択する「復興」へ。そして、福島は何も決めず何も決まらない「往生」へ。それぞれの背景や条件が違うので姿勢が異なる。がしかし、リーダーの決断と実行が、5年後、10年後、その後の展開に格差が生じることは間違いない。まさに岩手・宮城・福島の中に今後の日本の姿が集約されているわけです。さて、あなたなら復旧か・復興か・往生か。どれを選びますか。

ちなみに、東日本大震災の他にCNNが世界を変えたビックニュースとしたのは、エジプトのムバラク政権の崩壊。つまり、ソーシャル・ネットワークが原動力となり、北アフリカから中東に広がった"アラブの春"です。もう一つはオサマ・ビンラディンの急襲。パキスタンに潜伏していた国際テロ組織アルカイダのリーダーを米海軍特殊部隊が殺害した出来事。余計な事ですがあまりにもタイミングがよ過ぎますネ。この3つの出来事で世界はどのように変わってゆくのでしょうか。だから…今年はどんな年にしなければならないのでしょうか。あなたはどう思いますか。