2011年4月19日火曜日

船頭のいない船はどこへ行き着くのか


『船頭多くて船山に登る』という諺があります。ご存知の通り、この意味は、指図する人が多過ぎると統率がとれず意に反した方向へ事が進んだり、事が決まらず進まなかったりすることです。

現状の日本トップの状態を言い表しているようです。今の日本はリーダーがいないのか、リーダーが多過ぎるのか、とにかく指図が混乱しているようです。「○○対策本部」と称する司令塔が何と6つもあるらしい。それが事実なら、命令系統が複雑過ぎる。内容が重複するでしょうから現場が大混乱するのは当然です。

例えて言えば、二代目御曹司がトップで彼の学生時代のサークルの後輩・先輩が補佐役の会社。営業本部長の肩書きを持つ幹部が6名もいる会社です。この先成長する会社でしょうか。同業他社との競争に勝ち残れるでしょうか。資産がなければ遠からず倒産。資産があれば他社から吸収合併されるでしょう。いずれにしても先が見えない会社です。

日本のトップたちは、分刻みで本部会議を次々開いているとメディアは報じています。会議は踊り、船山に登る。問題は発生1ヶ月も経過しているのに未だに命令や指示の責任所在がハッキリ分からないことです。国難の一番の危機はそこにあるのかも知れません。

日本の復興と復活へ立ち上がってゆかねばならない重要な時です。対策本部長6名の"○○大臣"へぜひお願いしたい。日々、国民へ情報を発信してください。抽象的な掛け声の段階は終った。次は具体的な手段や優先順位を伝える段階です。BlogでもYouTubeでもInternet-TVでも何でもイイから本部長自らが生の声で伝えて欲しい。せめて会議での議案や検討・懸案の項目だけでもイイ。無いよりはマシです。いま何が決まっているのか、何が決まってないのか、などメッセージを流して欲しい。貴方がこんな時に本部長になったのには意味がある筈です。必然的な理由がある筈です。ですから政治家として「本懐」と受け止め、会議が踊っている場合ではありません。今こそ決断と実行を…。

「船頭多くて船山を登る」と同じような諺が西洋にもあります。「料理人が多すぎるとスープが駄目になる」(Too many cooks spoil the broth)といいます。船頭ぶる人や料理人ぶる人が多い場合の諺ですが逆の場合もある。つまり、大勢ヒトはいるのですが、一人の船頭も一人の料理人も実はいない。そんな場合はどうなるのか。船はどこへ流れてゆくのでしょうか。スープの味はどうなるのでしょうか。その事がとても不安です。

2011年4月12日火曜日

9.11と3.11 2つのパラダイムシフト



今から10年前、9月11日のNY多発テロ。当時、黒人初の国務長官パウエル氏は「USAは必ず復興する」だから「いつもと同じ生活行動を…」と連日TVで訴えました。決して"自粛しろ"とは言わなかった。彼は難しい言葉は一切使わず、誰にでも分かる日常語で語った。一方、10年後、今年の3月11日の三陸沖での大震災。日本の官房長官枝野氏は「未曾有の災害」だから「自粛を…」と訴えました。丁寧な語り口ですが難解な言葉や表現が多い。お役人が書いた原稿を読んでいる。かなり日本語達者な在日外人でも理解できないようで、外人記者クラブでは彼の会見後、毎回、解読セミナーが開設されるそうです。遠い昔、"全学連"のオルグ演説にどこか似ている。解説がないと理解できない。パウエル氏のように自分の言葉で外人にも分かるようにストレートに語ってほしい。ましてや福島原発の放射能汚染に至っては何がどの程度の危険なのかサッパリ分からない。政府のお抱え専門家集団である原子力安全保安院の会見に至ってはもっと分かりずらい。まるで科学用語の"直訳"ですからTV解説者の"意訳"が必要なほどです。残念ながら海外メディアの方が案外分かりやすいように思えてなりません。

9.11の米国と3.11の日本。この二つの国家的危機は人災と天災の違いがあります。被災規模は日本の方が数倍深刻で甚大です。なにせ地震と津波に加えて原発事故なのですから…。行方不明を含む死傷者は2万7千人(?)。日米間で違いはあるにせよ、一つハッキリ言えることは、この先の復興が後世に残るターニングポイントになることです。国民一人ひとりの国家や民族への考えをシッカリ持たねばなりません。現在の大ピンチを未来の大チャンスへ。まさに国家や社会の枠組みが変わるパラダイムシフトが起こったのです。

米国はその後、復興への矛先をテロリストへ。そのパトロンであるイラクへと向います。"大量破壊兵器"を保有しているに違いないとの思惑でイラク侵攻が始まります。泥沼化したその戦いは10年後の今も進行中(アフガン)。日本の復興はこれから始まります。矛先をどこへ向けるのか。深刻なのは福島第1と第2原発です。国連の原子力管理機関IAEAではソ連時代のチェルノブイリ原発事故(25年前)と同レベルと観ているからです。つまり、福島原発を廃炉にするには10年以上の長い時間がかかるという意味です。チェルノブイリ周辺には未だに退去避難者は戻っていません。とにかく500kmにおよぶ広範囲な東北太平洋沿岸の復興は険しくて長い道程になります。巨額な資金と遠大な努力が必要です。日本人一人ひとりが覚悟しなければなりません。これから日本をどうしたいのか。「民族」と「国家」と「経済」のために何が出来るのか。復興へ向けて考えねばなりません。

GANBARO NIPPON!

ちなみに、体を張って復興へ立ち向かったパウエル氏はその後、どうなったのか。ブッシュ大統領の取り巻き勢"ネオコン"と衝突。国務長官を辞任。政治家を廃業します。元軍人らしく潔い良い引き際でした。その結果、黒人初の大統領は彼ではなく、親子ほど歳が違うオバマ氏の登場までお預けになったのです。枝野さんはどうするつもりなのでしょうか。